社長が仕事を抱え込んでいませんか? 中小企業の業務改善と人の力の活かし方
「自分でやったほうが早い」
「人に説明するくらいなら、自分でやってしまおう」
「人に任せると、仕上がりが心配になる」
中小企業の経営者の方とお話ししていると、そんな声を耳にすることがあります。
社長自身が営業、経理、勤怠管理、書類作成、社員の管理まで、さまざまな業務を担っている。
社員がいる会社でも、判断が必要なことはすべて社長に集まってしまう。
その結果、目の前の仕事をこなすことに追われ、
経営戦略や新規顧客の開拓、人材育成など、
本来時間を使いたい仕事が後回しになってしまうことがあります。
私自身も会社を経営しているので、
「自分でやったほうが早い」と感じる気持ちはよくわかります。
ただ、企業の人材育成や業務改善、生産性向上を支援する立場からも、
一つ考えてみたいことがあります。
中小企業の業務改善では、
仕事のやり方を変えるだけでなく、「誰がその仕事を担うのか」を
見直すことも大切です。
今回は、社長が仕事を抱え込まないための考え方と、
外部の専門家に仕事を依頼してきた私自身の経験をご紹介します。
1.社長が仕事を抱え込むと、経営に必要な時間が不足する
社長が多くの業務を担う理由は、さまざまです。
自分で対応したほうが早い
人に仕事を教える時間がない
任せた仕事の品質が心配
社内に担当できる人がいない
外部に依頼する予算を確保できない
どれも、経営者にとっては現実的な悩みです。
しかし、日常業務を抱え込みすぎると、社長が本来取り組みたい仕事に使える時間が少なくなります。
例えば、次のような仕事です。
会社の経営方針や事業計画を考える
新しい顧客や取引先を開拓する
社員の育成や組織づくりに取り組む
業務の問題点を把握し、改善する
新しい事業やサービスの可能性を検討する
もちろん、会社の規模や状況によって、社長自身が実務を担う必要もあります。
大切なのは、社長がすべての仕事を手放すことではありません。
社長が担うべき仕事と、社員や外部の専門家に任せられる仕事を整理することが、
業務改善の第一歩です。
2.業務改善の第一歩は、仕事の棚卸しと役割分担
社長が仕事を抱え込んでいると感じたら、
まずは現在の業務を整理してみることをおすすめします。
難しいシステムを導入する前に、
どのような仕事に時間を使っているのかを把握することから始められます。
例えば、次の3つの視点で仕事を分類してみます。
① 社長自身が担うべき仕事
経営判断、事業の方向性の決定、重要な顧客との関係づくりなど、社長の経験や判断が必要な仕事です。
② 社員に任せられる仕事
手順を明確にすれば社内で対応できる仕事や、社員の経験・能力を活かせる仕事です。必要に応じて、教育や業務マニュアルの整備も検討します。
③ 外部の専門家に依頼できる仕事
専門知識や技術が必要な仕事、社内に担当者がいない仕事、専門家に依頼することで品質や効率の向上が期待できる仕事です。
このように整理すると、「人が足りないから採用する」という選択肢だけでなく、
仕事の分担や外部人材の活用など、別の方法も検討できるようになります。
また、仕事の進め方そのものに無駄がないか、同じ情報を何度も入力していないか、必要のない作業が残っていないかを確認することも、業務効率化につながります。
3.外部の専門家に依頼すると、自分一人ではできなかったことが形になる
私自身、会社を経営する中で、外部の専門家に仕事を依頼してきました。
例えば、会社のロゴ、コーポレートカラー、ホームページ、会社案内などです。
自分で考えたり、調べたりすることもできたかもしれません。
しかし、それぞれの専門性を持つ人にお願いしたことで、
自分一人では形にできなかったものが生まれました。
特に、会社のロゴやコーポレートカラーが決まったことは、
その後のブランディングにも役立ちました。
会社としてどのような印象を持ってもらいたいのか。
どんなイメージを大切にしたいのか。
その軸ができたことで、ホームページや会社案内など、
さまざまな媒体で一貫した見せ方を考えやすくなったのです。
この経験から感じたのは、
外部の専門家に仕事を依頼することは、
単に自分の仕事を減らすことではないということです。
外部人材を活用するメリットは、
自分にはない専門知識や経験を取り入れ、会社の可能性を広げられることにもあります。
すべてを社内で対応しようとするのではなく、必要な専門性を外部から取り入れることも、中小企業の経営における一つの選択肢だと思います。
4.外部人材の活用は、予算と依頼する仕事の整理から
一方で、外部の専門家に依頼したくても、費用が気になることはあります。
私自身も、信頼できる人にお願いしたいと思いながら、
予算の都合で自分で対応することがあります。
そのため、「人に任せればいい」と簡単に言うことはできません。
大切なのは、外部に依頼することを前提にするのではなく、
どの仕事に人の力を借りると効果がありそうかを考えることです。
例えば、次のような手順で検討できます。
業務を書き出す: 社長や社員が日常的に行っている仕事を整理する。
課題を確認する: 時間がかかる仕事、専門知識が必要な仕事、滞っている仕事を把握する。
依頼する目的を決める: 作業時間を減らしたいのか、専門性を補いたいのか、成果物の品質を高めたいのかを明確にする。
依頼方法を検討する: 社内での分担変更、業務手順の見直し、外部への業務委託などから適切な方法を選ぶ。
費用と成果を確認する: 予算に見合う効果が期待できるかを検討する。
外部人材を活用する場合も、最初から大きな仕事を依頼する必要はありません。
業務の一部や範囲を明確にできる仕事から検討する方法もあります。
ただし、業務を任せる際には、依頼する範囲や責任、必要な情報、成果物の条件などを事前にすり合わせることが重要です。
こうした準備が、依頼する側と引き受ける側の双方にとって、仕事を進めやすい環境づくりにつながります。
5.仕事を任せることは、責任を手放すことではない
仕事を人に任せることに、不安を感じる経営者もいると思います。
自分の会社のことだからこそ、品質も進め方も気になります。
任せた相手が困らないように、細かいところまで確認したくなることもあるでしょう。
しかし、仕事を任せることと、責任を放棄することは違います。
目的を伝えること。役割を明確にすること。必要な情報を共有すること。
困ったときに相談できる関係をつくること。
こうした準備や対話も、経営者にとって大切な仕事です。
そして、仕事を引き受ける側にも、その人なりの経験や専門性、仕事に対する考えがあります。
依頼する側が一方的に仕事を渡すのではなく、お互いの強みを活かしながら、よりよい結果を目指していく。
そんな関係が築ければ、仕事を任せることは、単なる業務の分担以上の意味を持つのではないでしょうか。
私は、企業の人材育成や業務改善を支援する中でも、自分自身が会社を経営する中でも、人の力をどう活かすかということの大切さを感じています。
6.滋賀の企業と、専門性を持つ人がつながる選択肢を増やしたい
社長が自分でやっている仕事の中には、これまで当たり前だと思って続けてきた仕事もあるかもしれません。
けれども、仕事を整理し、社内外の人の力を借りることで、今までとは違う方法が見つかることもあります。
私は滋賀が好きですし、滋賀で活動する人たちにも魅力を感じています。
地域には、さまざまな経験や専門性を持つ人がいます。
一方で、業務改善や情報発信、デザインなどの専門性を必要としていても、社内に担当できる人がいない企業もあります。
その両者がつながれば、企業の課題解決につながるだけでなく、専門性を持つ人にとっても、自分の力を地域で活かす機会になるのではないか。
そんな思いから取り組んでいるのが、
滋賀の企業と、地域で専門性を活かして働く人をつなぐ「ワクしが」です。
私が増やしたいのは、単に仕事を依頼する人と受ける人の組み合わせではありません。
企業が抱える課題と、一人ひとりの経験や得意なことが出会い、お互いにとってよい関係が生まれること。
そのつながりによって、社長が一人で抱えていた仕事が前に進んだり、専門性を持つ人が自分らしい働き方で力を発揮できたりすること。
そんな可能性を、滋賀に少しずつ増やしていきたいと思っています。
まとめ|社長が抱えている仕事を、一つだけ見直してみませんか?
中小企業の業務改善は、必ずしも新しいシステムを導入したり、人を採用したりすることから始める必要はありません。
まずは、現在の業務を整理し、社長自身が担うべき仕事と、社員や外部の専門家に任せられる仕事を考えてみることも大切です。
人手不足の解消や生産性向上を考えるとき、「人を増やす」という方法だけでなく、
「仕事の分担を見直す」「専門性を持つ人の力を借りる」という選択肢もあります。
すぐに仕事を手放すことが難しくても、問題ありません。
まずは、今抱えている仕事を一つだけ見直してみる。
あなたが自分で抱えている仕事の中に、誰かの力を借りることで、もっとよくなる仕事はありませんか?
そんな問いかけが、会社の仕事の進め方や、人の力の活かし方を考えるきっかけになればうれしいです。
滋賀の企業と、専門性を持つ人をつなぐ「ワクしが」についても、
これから少しずつお伝えしていきます。


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